倫理学講義 第三巻

3,850  (税込)
(税抜 3,500 )
KBKX-86285-440
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商品詳細

品番/ISBN:
9784862854407
メーカー/出版社:
知泉書館
著訳者:
山田晶:著 小浜善信:編
発売/発行年月:
2025年7月
判型:
四六
ページ数:
488

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説明

京都大学を退職後,南山大学などで教養科目として倫理学を担当し,分かり易く語った興味深い講義録の集大成。
哲学・倫理学の学識と豊かな知見に支えられた講義は,学生たちを魅了した。研究者にとっても有益な講義である。
第二巻では愛の自明性と曖昧性という二面性を語ったうえで「愛とは何か」を問い,愛の三形態であるエロス,ピリア,アガペーのうち,エロスを中心に考察された。
本巻ではこれら三つの愛の特徴と相互関係を総合的に論じた上で,キリスト教の「アガペー」を中心に語られる。
イエスは律法学者から最も重要な律法とは何かを問われ,第一に「心を尽くし,精神を尽くし,思いを尽くして神を愛しなさい」,第二に「隣人を自分のように愛しなさい」と答えた。イエスがこれら二つの掟の深い意味と関係について説くと,律法学者はイエスに反感を抱いた。
エルサレムへの途上の村で,皮膚病を患っている十人がイエスを迎えて癒しを乞うた。病が癒され彼らは喜んで去って行った。ところがその中から異邦人のサマリア人が,神を賛美しながら戻ってきて,イエスの足もとにひれ伏して感謝した。他の人は戻らず,イエスはその人に「あなたの信仰があなたを救った」と言って立ち去らせた。
ある人がエルサレムから下ってくる時に追剝ぎに襲われ,半殺しにされた。祭司やレビ人は知らぬ顔で通りすぎたが,一人のサマリア人がこれを見て憐れに思い介抱した。イエスはこの話を律法学者に話し,隣人とは何かを問うた。
著者はこれらの話から三つの愛とは「自愛」「他愛」とそれらを介した「交流愛」であることを明らかにし,律法と福音の違い,そして神への愛について丁寧に深く考察する。

【目次】

凡例
まえがき

第Ⅰ部 アガペーとエロス

第一章 アガペーとエロス(一)――「アガペー」としてのキリスト教的愛
第二章 アガペーとエロス(二)――アガペーとエロスの混合
第三章 アガペーの構成要素(一)――神の愛としてのアガペー
第四章 アガペーの構成要素(二)――アガペーは自発的で動機づけられない
第五章 アガペーの構成要素(三)――アガペーは価値に対して無関心
第六章 アガペーの構成要素(四)――アガペーは創造的である
第七章 アガペーの構成要素(五)――ハルナック批判
第八章 アガペーの構成要素(六)――罪の赦しの問題
第九章 アガペーの構成要素(七)――神と友なる関係に入らしめる
第一〇章 アガペーの構成要素(八)――神と人間とのfellowship
第一一章 アガペーの構成要素(九)――マックス・シェーラー説の批判
第一二章 アガペーの構成要素(一〇)――ニグレンにおける神と友なる関係
第一三章 ニグレンのアガペー説に対する批判(一)――fellowship におけるペルソナ的応答の問題
第一四章 ニグレンのアガペー説に対する批判(二)――十人の重い皮膚病患者とイエスのアガペー
第一五章 ニグレンのアガペー説に対する批判(三)――一人の重い皮膚病患者とイエスのアガペー

第Ⅱ部 キリスト教的愛について――自分のように人を愛するとは? 三つの愛,エロス,アガペー,愛の交わり

第一章 キリスト教と愛
第二章 神を愛するとはいかなることか
第三章 人を愛するとはいかなることか
第四章 「自分を愛するように」とはいかなることか
第五章 「自分を愛するように」についての問題(一)
第六章 「自分を愛するように」についての問題(二)
第七章 「自分を愛するように」についての問題(三)
第八章 「自分を愛するように」についての問題(一)の考察
第九章 「自分を愛するように」についての問題(二)の考察
第一〇章 「自分を愛するように」についての問題(三)の考察
第一一章 「自分を愛するように」についての問題(四)の考察
第一二章 神の二つの恵み
第一三章 二つの信仰
第一四章 第一の信仰―カリスマに対する信仰
第一五章 第二の信仰―感謝の信仰
第一六章 二つの恵み―第一の恵み
第一七章 恵みと感謝
第一八章 愛の二つの対象
第一九章 イエスの愛
第二〇章 感謝と愛
第二一章 感謝と愛(続き)
第二二章 三つの愛の比較
第二三章 愛の交流の発展
第二四章 救済の愛

第Ⅲ部 二つの掟,特に第二の掟について生じる諸問題の考察

第一章 最も重要な二つの掟
第二章 律法における二つの掟
第三章 律法における第二の掟
第四章 第二の掟における隣人の地位
第五章 第二の掟における隣人の地位(続き)
第六章 律法の立場からみられた第一の掟と第二の掟との関係
第七章 福音の立場からみられた第一の掟と第二の掟との関係
第八章 第二の掟について生じる諸問題
第九章 旧約における「隣人」の意味
第一〇章 イエスにおける「隣人」の意味
第一一章 「隣人である」ことと「隣人となる」こと
第一二章 「自分のように」について生じる諸問題
第一三章 「自分のように」が付加される理由
第一四章 愛される「自分」とは何か
第一五章 他人を自分のように愛することができるか
第一六章 他人を自分のように愛することは可能である
第一七章 他人を自分のように愛することのできる根拠
第一八章 他人を自分のように愛しうる可能性の根拠としての「共通性」
第一九章 「共通性」にもとづいて成立する倫理
第二〇章 「共通性」の倫理の限界
第二一章 「共通性」の倫理から「普遍性」の倫理へ
第二二章 「普遍性」の倫理としてのストア哲学
第二三章 「普遍性」の倫理と現実――エピクテトスの場合
第二四章 「普遍性」の倫理と現実(続き)――マルクス・アウレリウスの場合

第Ⅳ部 律法における倫理

第一章 最も重要な掟
第二章 律法における二つの掟
第三章 律法における神の愛と正義
第四章 律法における隣人愛の掟(一)――神聖法集『レビ記』第一七―二六章
第五章 律法における隣人愛の掟(二)――『レビ記』第一九章
第六章 律法における隣人愛の掟(三)――『レビ記』第一九章(結)
第七章 律法における隣人愛の掟(四)――『レビ記』第一九章五―八節
第八章 律法における隣人愛の掟(五)――『レビ記』第一九章九―一〇節
第九章 律法における隣人愛の掟(六)――『レビ記』第一九章一一―一二節

第Ⅴ部 キリスト教と愛

第一章 キリスト教と愛
第二章 二つの愛の掟
第三章 神を愛するとはいかなることか
第四章 イエスにとって神を愛するとはいかなることか
第五章 イエスにとって偶像とは何か
第六章 隣人を愛するとはいかなることか
第七章 イエスにとって隣人を愛するとはいかなることか
第八章 隣人とは誰か
第九章 イエスにとって隣人とは誰か
第一〇章 自分のように人を愛するとはいかなることか
第一一章 自分のように人を愛するの意味,拡大された自己愛

第Ⅵ部 自分のように人を愛するとはいかなることか

第一章 自分のように人を愛するとはいかなることか
第二章 自分が自分を愛していることの確かさ
第三章 自分を愛するように人を愛することができるか
第四章 律法における愛の掟
第五章 律法における「隣人」の意味
第六章 拡大された「自分」としての隣人
第七章 拡大された「自分」としての「われわれ」の諸形態
第八章 拡大された自己愛の限界
第九章 拡大された自己愛から普遍的人間愛へ
第一〇章 普遍的人間愛の限界
第一一章 自愛の再考察
第一二章 自愛と共感
第一三章 隣人とは誰か

第Ⅶ部 二つの掟と新しい掟

第一章 最も重要な二つの掟
第二章 律法の継承と完成
第三章 神の思想の拡大と深化
第四章 隣人の思想の拡大と深化
第五章 二つの愛の関係
第六章 福音における神への愛
第七章 福音における第二の掟
第八章 自分のように隣人を愛することはできるか
第九章 隣人を自分のように愛しうる可能性の根拠
第一〇章 共通性にもとづく隣人愛の限界
第一一章 隣人愛を破壊する自己愛
第一二章 隣人を自分のように愛しうる根拠としての共感
第一三章 隣人愛の可能態と現実態
第一四章 愛の実行の場としての共存
第一五章 共通性と共感にもとづく隣人愛の限界
第一六章 限界状況においてとりうる二つの態度
第一七章 新しい掟
第一八章 二つの愛の掟と新しい掟との比較
第一九章 新しい掟における愛の基準としてのイエス

あとがき
解説
索引


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