【聖書の選び方】ガイド

聖書の選び方ガイド1時限目:聖書は結局どれを買えば良い?~初めて選ぶ聖書

数ある聖書のなかで、どれを選べばよいかというご質問をお客様からよく受けます。本来はご来店いただいた上で、実物を手にしながらご利用用途にしたがってお選びいただくのが一番よいのですが、インターネットにおいては下記のようにご案内しています。


まったく初めて聖書をお選びの方には「新共同訳で旧約・新約聖書が一緒になっている小型のもの」を お勧めしています。新共同訳は新しくそしてもっとも広く使用されている聖書ですので、個人で読むのにはもちろん、やがて礼拝などに参加する機会が訪れた時にもそのままご利用になれる可能性が高いからです。

「新共同訳」であること、これについてご説明しましょう。日本でのキリスト教は大きく分けてカトリックとプロテスタントに宗派が別れますが、新共同訳聖書は、どちらの宗派でも使われています。新共同訳はカトリックとプロテスタントの研究者が「共同」で翻訳した聖書だからです。つまり、もしたまたま礼拝に参加した近くの教会がカトリックでもプロテスタントでも、使われる聖書は新共同訳聖書である場合が多いのです。

ただし、例外もありますので、すでに教会に所属している場合などは所属教会の責任者の方にどの聖書を使っているかお確かめになったほうがよろしいでしょう。

次に、「旧約・新約聖書が一緒になっているもの」であること、これについて説明します。キリスト教では「旧約聖書」「新約聖書」のどちらも聖典です。礼拝はもちろん、教義や礼拝の中核となる部分にどちらも深く関わって

きます。例えば救世主(メシア)到来の預言は旧約聖書に書いてあります。その預言の成就が新約聖書に書かれた

新共同訳小型聖書NI44

「イエス様の出現」であるとするのがキリスト教です。また、実際の礼拝でよく朗唱される詩編は旧約聖書に書かれています。ですので旧・新約聖書が一緒になったものをお勧めしています。

さらに当店としては店頭で人気の「手ごろなお値段で比較的持ち歩きやすい小型聖書」をオススメしています。あなたが初めて聖書を買うなら、大きな聖書を買ったけど重くて本棚から出すのがおっくう・・・なんてことになったらもったいない!小さな聖書を携帯して、時々開いて御言葉を身近に感じてほしいと思います。たとえば『新共同訳小型聖書(NI44)』などはどうでしょう?ミニ版聖書などもありますが、コンパクトさを追求するあまり、かえって価格は高くなります。コストパフォーマンスがいいのは小型聖書です。

もしあなたが聖書に対して”少し意識の高い”方だと自負されるなら、同じサイズでも「旧約聖書続編付き」をおすすめ致します。ガイド3時限目で詳細を解説していますが、旧約聖書続編はカトリックでは聖典の1部とされています。コレに該当するのは『新共同訳小型聖書 旧約続編つき NI44DC』になります。

※2018年末に最新の翻訳「聖書協会共同訳」が完成しています。こちらの聖書は内容的には大変おすすめなのですが、現時点(2020年8月現在)では広く一般に普及しているとは言い難いため、初めてご購入のお客様にはNI44またはNI44DCをお勧めしています。


聖書の選び方ガイド2時限目:「翻訳」の違いについて

聖書の翻訳はすばらしい大事業です。ですので、どの翻訳聖書が一番良いということは一概に言うことができません。たとえばかなり以前に訳された文語訳聖書であっても、文語体の持つ力強い韻律に魅せられるファンが今も絶えません。また、翻訳という作業の性質上、原文にまったく忠実に訳されるということは有り得ず、それぞれの訳者が言葉を慎重に選びながら素晴らしい翻訳をしています。

「聖書 聖書協会共同訳」

聖書協会共同訳聖書

2018年12月、日本聖書協会が31年ぶりに刊行した新訳です。カトリック・プロテスタント諸派の協力による翻訳で、「礼拝での朗読にふさわしい」ものとすることを方針に据え、作業には、聖書学者のほか、歌人などの日本語の専門家も関わりました。意訳か、直訳かにこだわるのではなく、礼拝にふさわしい「格調高く美しい日本語」とすることを大切に作られています。

「聖書 新改訳2017」

聖書新改訳2017

1970年に刊行された「聖書 新改訳」に全面改訂をほどこし、2017年10月に出版された翻訳です。「原典に忠実である」という「新改訳」からの理念を踏襲しつつ、時代による日本語の変化を意識した、より簡潔で自然な表現の翻訳となっています。

「聖書 新共同訳」

新共同訳聖書

日本聖書協会から1987年に発行された現代日本における比較的新しい翻訳です。現在もカトリック、プロテスタント、教派を問わず広く使用されています。


その他の翻訳

最新の翻訳以外にも今なお親しまれ、礼拝や聖書研究でで使用されている聖書に下記のようなものがあります。

「聖書 口語訳」

口語訳聖書

日本聖書協会から1954年に新約、1955年に旧約が発行されました。戦後、日本人による初めての完訳聖書です。かつての標準的聖書で、各種文学作品にも引用されるなど、慣れ親しんだ方は多いでしょう。現在では聖書学の研究が進み、翻訳の不備も指摘されています。

「聖書 文語訳」

文語訳聖書

日本聖書協会発行。1887年に旧約、1917年に改訳新約、1982年に新組版発行。文語調の美しい文章で、今なお愛読者が絶えない名訳です。

「聖書 新改訳」

新改訳聖書

日本聖書刊行会発行。原語(ギリシア語・ヘブライ語)に忠実に訳出しているとされています。2003年に第三版が刊行されました。

「聖書 フランシスコ会訳」

フランシスコ会訳聖書

フランシスコ会聖書研究所発行。カトリック公認の日本語訳聖書です。原語に厳格に訳出、訳文中に細かな脚注があります。2011年に、新旧約完本が発刊されています。

「個人訳聖書」

個人訳聖書

主にある個人が一貫して翻訳した聖書のことをこのように呼んでいます。訳者の個性・思想などが反映され、聖書研究などに用いられることが多い聖書です。通常は礼拝、ミサ、集会などで使用されることはありません。


聖書の選び方ガイド3時限目:ざっくり概論!聖書の構成について

ユダヤ教という宗教がありますが、キリスト教は、歴史的にはユダヤ教を母体として誕生しました。ユダヤ教の聖典は旧約聖書ですが、キリスト教はイエス・キリストの教えを中心に書かれている新約聖書をもうひとつの聖典としてより重視しています。しかし、「旧約」も「新約」も神様と人間との大事な契約ですので、キリスト教では旧約聖書を聖典から除くことはしていません。キリスト教が旧約聖書と新約聖書を聖典とするのはこのような理由からなのです。(*「旧約」、「新約」の「約」とは「契約」、つまり神様の約束の意味です。)

旧約と新約はわかりましたが、中にはちょっと分厚い聖書があって「旧約続編付き」とあります。これってなんなのでしょう?

では、まとめて聖書の構成について見ていきましょう。

(A)旧約聖書(創世記~マラキ書)

旧約聖書はモーセ五書(「創世記」などが含まれます)、歴史書、預言書、諸書から構成されています。とても興味深い物語(歴史や文学)がたくさん記述されていて、「ノアと洪水の物語」や「ゴリアテを倒した少年ダビデの物語」、「魚に飲み込まれた預言者ヨナの物語」などがあります。キリスト教の礼拝でよく読まれる祈りの歌である「詩篇(詩編)」や、知恵文学として有名な「コへレトの言葉」もここに入ります。ちなみにユダヤ教では、この後の新約聖書については聖典としていませんので、この部分のみが「聖書(タナハ)」と呼ばれます。

(B)旧約聖書続編(トビト記~マナセの祈り)

旧約聖書続編は、カトリックの第二正典の範囲と聖公会のアポクリファの範囲をカバーしています。プロテスタントでは外典(もしくは偽典)と呼ばれ聖書の一部とはみなされない部分ではありますが、ここにも「ベルと竜の物語」や「マカバイ戦争の記録」など、興味深い物語がいくつも収められています。ただし、正教会などで正典とされている文書でありながら、含まれないものもいくつかあります。

(C)新約聖書(マタイによる福音書~ヨハネの黙示録)

新約聖書はイエス・キリスト以降の記述です。イエス・キリストの生涯を記録した4つの福音書と呼ばれる書物をはじめ、イエスの弟子たちが書いた書簡、ヨハネが書いたとされる黙示録などが含まれます。キリスト教の礼拝では説教の中心となることが多い部分です。