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「宗教の時代」に宗教の“再生”は可能か。
近年の宗教ブームは、近代の合理主義的な思潮に対する反省や批判のあらわれといわれる。
現代の宗教は、この期待に応える独自の内実を現代人に与えることができるだろうか。
「宗教の止揚」を唱える著者は、諸宗教から思想、芸術、風俗にいたる様々な現代の宗教現象を歴訪し、既成宗教の相対化を通して、宗教の根源に迫る。
[目次]
1 宗教の検討(科学と宗教の接近──究極にむかって/解体と縮合と──吉本隆明氏の宗教観/信不信をえらばす──一遍の生きかた/知による救済──「トマスによる福音書」の意味 ほか)
2 宗教の現在(結婚式と葬式──日本基督教団神戸教会の場合/鬼は内、福は内──大本教の節分大祭/世界の平和と民衆の安全──神戸のユダヤ教会堂/自然の精神への憧れ──上賀茂神社の巫女 ほか)
3 芸術と宗教(運命とはなにか──映画「イフゲニア」/闇と光の空間──白井晟一の建築/知と信のあわい──中村草田男の軌跡/美醜をこえる民芸──池田三四郎氏を訪ねて ほか)
4 文化と宗教(駆込寺の現在──鎌倉の東慶寺/文化的キリスト教の再評価──「明治女学校の百年」展/文明開化とキリスト教──『七一雑報』の今日的意味/仏教書出版一筋──京都の法蔵館 ほか)
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異教の「イエス」を、日本人はどのように受容し、対決してきたか。
キリストならぬ「〈人間〉イエス」を探求し続ける著者による、明治から現代にいたる文学者・思想家21名の「イエス観」。
1 文学
弱いイエスと強いイエス──遠藤周作『イエスの生涯』『キリストの誕生』
逆もまた真なり──塚本邦雄『定本塚本邦雄湊合歌集』
政治的人間と宗教的人間──武田泰淳『わが子キリスト』
生と死の同時性──椎名麟三『私の聖書物語』
ユダを通して──太宰治『駈込み訴へ』
若き日のイエス──山岸外史『人間キリスト記』
浮浪少年のなかに──石川淳『焼跡のイエス』
わたしのクリスト──芥川龍之介『西方の人』『続西方の人』
耶蘇のことを思ふ──武者小路実篤『耶蘇』
人間こそキリスト──山村暮鳥『十字架』
美としてのイエス──上田敏『耶蘇』
2 思想・歴史
思想としてのイエス──吉本隆明『マチウ書試論』
イエスのヒューマニズム──赤岩栄『キリスト教脱出記』
キリストは実在せず──幸徳秋水『基督抹殺論』
「医蘇」としてのイエス──住谷天来『黙庵詩鈔』
イエスと天照大神──渡瀬常吉『日本神学の提唱』
イエスは自由なり──山路愛山『耶蘇伝管見』
楕円幻想──内村鑑三『二つのJ』
基督は吾人の本我なり──植村正久『基督と其の事業』
無情の耶蘇──田島象二『耶蘇一代辨妄記』
男女としてのイエス──新井奥邃『奥邃広録』
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