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誰でも癩になつた刹那に、その人の人間は亡びるのです。――「いのちの初夜」
2・26前夜にハンセン病療養所から文壇デビュー、わずか23歳で逝った北條民雄。武蔵野から故郷・徳島阿南へとその痕跡を辿る作家論に、生誕100年を経て公表された事実を加筆した、20年振りの新版。
私自身には説明のつかない、偶然の導きによってたどり着いた七條家は、1995年に初めて訪れた、祖父、重以知の生家の隣家であった。これが何がしかの“暗号”であったなら、やはり、ゆるがせにできない縁であるように私には思われた。しかし、……それを公表するまでには、なお、北條民雄の生誕百年を待たなければならなかった。(新版あとがきより)
【目次】
柊――はじめに
Ⅰ 塩田平
Ⅱ 土地に刻まれしもの
Ⅲ 吹雪と細雨
Ⅳ 『山櫻』
Ⅴ 花瓶の花
Ⅵ 全生村へ
Ⅶ 傾城阿波鳴門
Ⅷ 白き海光
Ⅸ 粗い壁
Ⅹ 問われるままに
Ⅺ 旅の終わりに――冨士霊園文学者之墓
あとがき
新版あとがき
主な参考文献