商品詳細
タグ
説明
19世紀末から20世紀にかけて、宗教学から生まれた「聖なるもの」という概念が、建築の意味をどう変容させたのか。フランス革命に端を発する、国家による空間管理、歴史的建造物、文化財学などの展開から、20世紀初頭の聖芸術運動や先進国首都における都市計画まで、建築の近代を問い直す。
はじめに パリのノートル=ダム
1 聖と俗の長い葛藤(宗教と世俗の逆転―教会財産から国有財産へ;行政に管理される宗教建築―一九世紀教会の公共サービス施設化;近代概念としてのカテドラル―王家菩提所サン=ドニの空間的意味の多層化;挫折するモニュメント―カトリック教会と世俗的共和国との空間をめぐる闘い;教会建設の社会体制―合理主義の揺籃としての19世紀パリの教会建築;教会施設を所有するということ―一九〇五年の政教分離法による「聖なるもの」の自立)
2 「聖なるもの」の形成(発見された根源としての「聖なるもの」―近代における建築起源論;「聖なるもの」による建築の再定義―二〇世紀建築のひそやかな水脈;運動としての「聖芸術」の誕生と展開)
3 モニュメントと近代精神の共振(教会建築の現代化―二〇世紀パリにおけるカトリック教会造営運動;帝国的なものとしてのオベリスク―近代における復活をめぐって;生者と死者を媒介する―帝国理念における「聖なるもの」と都市計画;「聖なるもの」を目指して―前衛思想における世界創生理念;歴史からの脱出―近代なるものと建築史学)
おわりに ロンシャンのノートル=ダム=デュ=オ礼拝堂