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夫・三浦朱門はある日、崩れるように倒れた。
短い検査入院の間に、私は日々刻々と夫の精神活動が衰えるのを感じた。
その時から、一応覚悟を決めたのである。
夫にはできれば死ぬまで自宅で普通の暮らしをしてもらう。そのために私が介護人になる――。
作家・曽野綾子が80代なかばにして直面した、90歳になる夫の在宅介護。
工夫と試行錯誤を重ねながら、「介護とは」「看取りとは」そして「老いとは何か」を自問自答する日々が始まった。
家族の介護をしている人も、これからするかもしれない人も、超高齢社会を迎えるすべての日本人に知ってほしい「夫婦の愛のかたち」がここにある。
2017年2月の三浦氏逝去を越えて続いた、「週刊現代」大人気連載が待望の単行本化。