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説明
中世以降のヨーロッパにおける民衆教育の研究に関しては、識字率への関心が強かったが、キリスト教を背景としたヨーロッパ社会では、宗教教育が教育のあり方に深く関わっていた。
中世初期では修道院と宮廷がラテン語をはじめとした貴族階級への教養教育の役を担い、中期にはエリート教育機関としての大学が誕生する。
近世に入り、聖書を母国語で読みたいという欲求の高まりや、都市の急速な発達と商工業の繁栄によって、読み書き計算などの初等教育への要請も高まった。
その中でユダヤ人社会ではキリスト教社会に先駆けて初等教育を義務化したが、これは民族のアイデンティティー保持のためでもあった。
本書の執筆者は必ずしも教育史の専門家ではないが、一次史料を扱うなかで教育史関係の史料と出合い、それを活用して、エリートと民衆、男性と女性、市民と農民の違いなどさまざまな切り口で、ヨーロッパ中近世教育の多面的な姿を明らかにした。
教育からみたヨーロッパ中近世の社会史
宮廷と修道院──中世初期における貴族の教育
中世後期ボヘミアの教会改革運動とプラハ大学
公会議と写本収集──古典の再発見と人文主義の拡大
14~16世紀ドイツ市民の初等教育
フマニタス研究の古典精神と教育──イエズス会系学校の誕生頃まで
リッターアカデミー
グランド・ツアー
18世紀プロイセンの民衆教育──敬虔な信徒から勤勉な臣民へ
慈善と実用──18世紀イギリスの庶民教育
フランスのアンシャン・レジーム期における教育
啓蒙期オーストラリアにおける教育──初等学校の制度的変遷を中心に