キリスト教の歴史

3,850  (税込) (税抜 3,500 )
9784862859631, 知泉書館, 西洋中世学会, 2023年12月, B5, 236,  

特集:西洋中世の感情

〈序文〉
西洋中世の感情をめぐって(山内志朗)

〈論文〉
「感情の共同体」としての学識ある聖職者――14世紀の説教の聴衆(赤江雄一)
「怒りzorn」と「敵意haz」――中世叙事文学に見る感情の表象するもの(山本 潤)
意志の感情という視点――オッカムのウィリアムにおける感情の理論(辻内宣博)
14世紀末の記譜法の変化に見られる「感情の表現」――コローナ記号の登場とその意味について(宮崎晴代)
涙を描く――初期ネーデルラント絵画における情念・情動の図像表現(木川弘美)

********************
論文
知識をいかに体系づけるか?――『ソロモンの哲学の書』に見る初期中世における学問区分の再編成(阿部晃平)
中世ルーシのサモジェルジェツ(専制君主)概念(宮野 裕)
エリザベス1世の枢密顧問官の特徴(福田智美)

特別寄稿
2021年度若手セミナー「頭と舌で味わう中世の食文化:レクチャー編」より(松本涼・有信真美菜・城戸照子)

新刊紹介

彙報
西洋中世学会第15回大会シンポジウム報告「中世世界の人と動物」(坂田奈々絵)
「第11回日韓西洋中世史研究集会」報告記(森下 園)

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西洋中世研究 総目次(2009~2023)
西洋中世学会役員等


10,450  (税込) (税抜 9,500 )
9784862850287, 知泉書館, K・リーゼンフーバー, 2008年2月, A5, 688, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。
理性と霊性の創造性豊かな関係に焦点を当て、11世紀の初期スコラ学から15世紀のルネサンスに至る理性論の多様な形態を考察。 形而上学と自然学、倫理学と政治思想への反映までも解明することを通して、理性と霊性の相互作用を中世思想の根源的な原動力として展開する。

"【取り寄せ】中世における理性と霊性" の最低購入数は 1 です.


9,900  (税込) (税抜 9,000 )
9784862850126, 知泉書館, 上智大学中世思想研究所, 2007年6月, A5, 576, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。
中世文化は13世紀の盛期スコラ学において思想的頂点に達したのち、14世紀には危機と転換の時代を迎えた。 社会的には経済危機や人口減少、市民階級の勃興と封建体制の動揺、さらにペストや東方からの脅威に加え、領邦国家が神聖ローマ帝国に対する独立性を強め、教皇権力の求心力も弱体化しつつあった。...

"【取り寄せ】中世と近世のあいだ 14世紀におけるスコラ学と神秘思想" の最低購入数は 1 です.



4,730  (税込) (税抜 4,300 )
9784862853615, 知泉書館, 浜田華練:著, 2022年3月, 菊判, 292

12世紀のアルメニアはビザンツ帝国をはじめ十字軍に関わるローマ,そしてイスラームやペルシャなどの多くの国家に囲まれ,民族や宗教の統合のために多くの苦難に直面していた。この時代を代表する詩人・文学者の修道士ネルセス・シュノルハリの生涯を通して,正教会とアルメニア教会の一致と,多くの文学作品により民族の統一に果たした彼の役割を歴史的背景の下に考察する。わが国だけでなく海外でも知られていないアルメニアの教会と歴史を通して,キリスト教史で見落とされがちな東方の諸教会に新たな光を当てた画期的な業績である。
451年のカルケドン公会議で公認された「一なるヒュポスタシス・二つの本性」のカルケドン信条に対し,アルメニア教会は「受肉したロゴスの合一した一なる本性」を教理に採用,この対立が12世紀の教会合同の争点となった。シュノルハリは教義の違いを相補的な関係として,双方ともに有効であると主張した。
キリスト論は「受肉したロゴス」という「人間となった神」が主題で人間の探究を意味し,さらに教会を「キリストの体」と見なすパウロのキリスト論は教会論であり,それを踏まえてシュノルハリのキリスト論を解明する。
第1部では教会合同に携わる以前のシュノルハリの生涯と作品を跡づけ,晩年のキリスト論の思想的発展の意義を検討する。第2部では,シュノルハリの政治的立場がキリスト論に与えた影響を明らかにする。
ウクライナの現在とアルメニアの過去を考える時,歴史に翻弄される小国の姿が鮮明に浮かび上がってこよう。


4,950  (税込) (税抜 4,500 )

本書は仏教やキリスト教など宗教が社会や人間に大きな影響力をもった時代を考察し,仏教史への視座を提供する。
第一部では20世紀初めにプロシャ学術調査隊がトルファン地域(現新疆ウィグル自治区)で収集した文書は,第2次世界大戦後にソ連によりベルリンから持ち去られた。冷戦終結後にベルリン・トルファン研究所で文書の目録作成が行われ,著者もそれに参加し,その関連でトルファン文書を検討する機会を得て,その成果の一部を示す。
第二部では6世紀の南北朝末期の4人の高僧,釈亡名,江総,釈曇延,釈静藹らの波乱に満ちた人生と仏教が時代と葛藤した姿を通して仏教思想の実態を解明する。この時代は3世紀にわたる分裂王朝が隋により統一され,時代の転換期を迎えていた。中でも北周の武帝による廃仏政策は仏教界に甚大な影響を与えた。社会に浸透した仏教とそれに触発された道教は,国家権力の強力な管理の下でその存在意義が問われ,儒教は10世紀の北宋期に勢力を伸長させるが,その源になる力が動き始めていた。
第三部では,18世紀ドイツのプロテスタントの敬虔主義教会の貧しい副牧師がキリスト教の中国布教を夢見た珍しい事例を紹介する。キリスト教の中国布教は15世紀の大航海時代に本格化し,主にイエズス会が担っていた。その中で敬虔主義者は自らが正しい宗教であり,他の宗教はその変型であるとした。孔子も一敬虔主義者であり,創世記により孔子の言説を説明しようとした。中国の情報が流入し始め,それをきっかけに展開した時代を写す試みであった。


7,150  (税込) (税抜 6,500 )
9784862853561, 知泉書館, 渡辺節夫:訳著, 2022年3月, 新書, 664

ヨーロッパ文化の基礎が創られた中世。それは世界史的にどのような時代であったのか。中世史史料には,叙述史料と証書史料の二種がある。証書史料は,日付・印璽・証人を含む王の命令文書であり,イギリスのマグナ・カルタに代表されるように,王権の確立過程や変遷を辿る,西洋中世史研究の最も基本的な重要資料である。しかし,物語性があり脚光を浴びる叙述史料に比べ,証書史料は内容の重要性や信憑性の高さにも拘らず,一般には注目されてこなかった。
本書は,フランスの証書史料を取り上げ,詳細な訳注および解説と分析を加える。さらにはラテン語原文を掲げて,歴史研究の素材を提供するとともに,証書の史料的豊かさを伝えてくれる。
第Ⅰ章では,13世紀の特にルイ8世(1223-26年)の時代に焦点を当て,証書とは何か,その諸類型と時間的変化を日本の中世との比較も盛り込みつつ検討し,王権の拡大と深化の実態を解明する。第Ⅱ章では,ルイ8世に関わる未公刊史料を中心に,重要な証書110通を和訳し,注釈を加える。第Ⅲ章は,王権と封の関係について考察し,中世の国家を人的結合国家として捉え直す。そして後半部を占める第Ⅳ章では,第Ⅱ章で訳出した証書類の原文を掲載する。
フランスでも未刊行の史料をわが国で初公刊する意義深い業績。法制史のみならず,経済史や社会史の研究にも豊富な材料をもたらすとともに,学生には中世ラテン語の基礎的訓練としても役立つ必携の書である。


6,600  (税込) (税抜 6,000 )
9784862853486, 知泉書館, 甚野尚志:編, 2021年10月, 菊判, 364, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

人類が疫病と闘いながら文明を築いてきた側面について,歴史学は十分顧慮してこなかった。1万1千年前のメソポタミアでは野生動物の家畜化に伴い疫病が発生し,アテネでのペストの流行はギリシア文明を衰退させ,ビザンツ帝国でのパンデミックは古代ローマ終焉の要因となり,14世紀の黒死病によりヨーロッパ社会は根本的に変容した。南米ではスペイン人がもたらした疫病が先住民を死に追いやった。
第Ⅰ部「終末に向きあう」では,疫病による社会的危機が生み出す終末意識を検討する。第Ⅱ部「疫病とその影響」では,14世紀に大流行したペストがその後の西欧世界に与えた影響を分析し,Ⅲ部「他者への抑圧」では西欧の近中世世界で,社会的危機に際して迫害され排除されたマイノリティの問題を扱う。第Ⅳ部「境界を乗り越える」では,西欧とロシアの修道院や中南米のイエズス会布教区で,疫病が修道士や信徒の信仰のあり方に衝撃を与え,彼ら自身が霊的な再生をいかに目指したかを考察する。
産業革命以来,物質的欲望を追求してきた「近代文明」が限界に直面し,さらに世界がコロナ禍にあって,我々は文明の「境界」を越えて新たな文明へと「再生」できるのか。そのような問題意識から,本書はヨーロッパ中近世史の研究者が専門領域の事例を通して,疫病による社会的,宗教的な影響や伝承を実証的に考察した他に類のない本格的業績である。


3,850  (税込) (税抜 3,500 )

京都大学の学部生に向けた昭和41年から58年まで18年に及ぶ「中世哲学」講義を全5巻に収録した,他に類のない貴重な記録である。講義は明快な語り口とともに,そのつどの関心や研究成果を織り交ぜ,中世哲学の意味や意義,そして歴史的に形成されてきた中世哲学の背景など,多様なヨーロッパ中世への招待となっている。
本巻では昭和50-52年度までの3年間の講義を収載する。
キリスト教におけるグノーシス思想,とくにパウロのグノーシス思想を考察するために,プラトンとアリストテレスのグノーシス概念を比較検討し,両者における意味の違いを考察する。さらにヘレニズム時代におけるエピクロスとストア派のグノーシスが「宗教的救済知」であることを明らかにする。それらを踏まえてヘレニズム世界に新たに勃興してきたキリスト教のグノーシス的側面が解明される。
パウロが『コリント前書』で論じる信者間の「分裂」や「性生活」,さらに「霊的賜物」や「結婚」の問題等について,グノーシス思想との関連に基づく分析・解明は,『中世哲学講義』全五巻の論述の中でも圧巻の明晰性,独自性,そして深度を示している。
山田晶教授の広範な歴史的視野と独自の着想は,若い読者のみならず研究者にとっても示唆に富むものである。講義の臨場感を味わいつつ,講義を組み立てるうえで盛り込まれている有益な事例は,現場の教師にとり参考となろう。


4,400  (税込) (税抜 4,000 )
9784862853417, 知泉書館, 山田晶:著 川添信介:編, 2021年7月, A5, 458, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

京都大学の学部生に向けた昭和41年から58年まで18年に及ぶ「中世哲学」講義を全五巻に収録した,他に類書のない貴重な記録である。
講義は明快に語られるとともに,その都度の関心や研究成果を織り交ぜ,中世哲学の意味や意義,そして歴史的に形成されてきた中世哲学の背景など,多様なヨーロッパ中世への招待となっている。
本巻では昭和41-44年度までの4年間の講義を収載する。
「中世哲学とは何か」の関心に基づきキリスト教と哲学の関係についてパウロとヨハネを中心に考察する。またグノーシス思想の意味について,ギリシア哲学や神秘思想,ユダヤ教やパウロなどとの関係を通して詳細に分析する。
後半ではヘーゲルの歴史観を吟味しつつ中世哲学自体の存在を問うとともに,古代哲学と中世哲学との連続と断絶,近世哲学やフマニスムスと中世哲学との関わり,さらにイスラムやユダヤ教との関連,そして神話と啓示の歴史性に関する中世哲学の意義について考える。近世哲学にはない,中世哲学のもつ豊かな地平が示される。
本書は長年の研鑽に裏打ちされた山田晶教授の広範な歴史的視野と独自の着想など,若い読者だけではなく研究者にとっても示唆に富む。また講義の臨場感を味わうのみならず,本書に盛り込まれた有益な事例は現場の教員が講義を組み立てるうえでも参考になろう。


3,850  (税込) (税抜 3,500 )
9784862859471, 知泉書館, 西洋中世学会, 2020年12月, B5, 194,  

特集:カロリング期の記憶
 〈序文〉
記録を残し記憶が残る――カロリング期の史料と中世におけるカロリング期にまつわる過去の想起(菊地重仁)
 〈論文〉
〈グレゴリオ聖歌〉成立の記憶(山本成生)
カロリング朝時代の組み紐装飾の記憶――「擬古的」礼拝空間演出の事例(奈良澤由美)
<Reditus Regni ad Stirpem Karoli Magni> 再考(鈴木道也)
武勲詩におけるカール大帝の光明面(ライトサイド)と暗黒面(ダークサイド)(小川直之)
「大立法者」としてのカール大帝の記憶(津田拓郎)

********************
 論文
「社会的動物としての人間」と「政治社会」:フランシスコ・デ・ビトリアのテクストから(木場智之)
9-11世紀におけるビザンツ帝国からアルメニアへの聖十字架断片の奉遷(仲田公輔)
呪詛ではなく祝福を:マンスフェルト伯家と家門修道院ヘルフタに見る13世紀末の紛争と和解(三浦麻美)


8,250  (税込) (税抜 7,500 )

本書はロヨラの「霊操」を精神的基盤とするイエズス会の,教育に携わってきた歴史を考察するとともに,各地域での多様な対話を通じてヒューマニズム教育を推進してきた姿を紹介した本格的な業績である。
今日,教養教育と人文系の学問の社会的な存在意義が問われるなか,人文的教養の意義と歴史への関心は薄い。教育に関心をもつ読者にとり示唆に富む一書である。


3,960  (税込) (税抜 3,600 )
9784862853233, 知泉書館, 安酸敏眞, 2020年11月, 四六, 404,  

キリスト教思想では,アウグスティヌスやトマスなど主要な研究対象になる思想家もいれば,フィオーレのヨアキムやクラウゼのようなあまり知られていない思想家もいる。

本書は無名の思想家に光をあて,知られざる思想上の貢献を紹介し,またレッシングやトレルチ,ニーバーなど周知の思想家についても,見過ごされてきた側面に注目し,思想史上の新たな意味を掘り起こす。本書で考察する7人の著作家の位置づけ,その特徴と系譜を独自の視点から結び合わせ,そこに潜んでいる隠れた連関を浮かび上がらせて,新たな思想史を提示する。


3,850  (税込) (税抜 3,500 )
9784862859433, 知泉書館, 西洋中世学会, 2019年12月, B5, 220, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

特集:教皇庁と女性――崇敬と蔑視の構造

〈序文〉

教皇庁と女性――崇敬と蔑視の構造/加藤磨珠枝

〈論文〉

中世初期ローマ教会における女性の職務とその表象について/加藤磨珠枝

母、教師、花嫁としての中世ローマ教会/藤崎衛

ナポリ・アンジュー家の王妃たちと教皇/谷古宇尚

聖性から聖年へ/三浦麻美

教皇庁の混迷を越えて/久木田直江

ローマ・カトリック教導権における女性理解/寒野康太

ほか

"【取り寄せ】西洋中世研究 第11号" の最低購入数は 1 です.


3,630  (税込) (税抜 3,300 )

オットー1世(フランク国王,皇帝)の名代として968年にコンスタンティノープルに派遣された外交使節クレモナ司教リウトプランドによる貴重な記録である。
リウトプランドは主著『報復の書』で著名だが,当時帝国官房書記としてオットーの重要な側近であった。彼はランゴバルド系の家柄に生まれ,イタリア王フゴの宮廷に出仕したあとイヴリア侯ベレンガリウス2世に仕えたが,仲違いしオットーのもとに逃亡した。彼の生涯は北イタリアの複雑な政治情勢を反映して紆余曲折に満ちたものだった。
使節の目的は,オットー1世の「皇帝」称号問題,南イタリア地域の諸侯の帰属問題,ビザンツのイタリアにおける拠点バーリをめぐる攻防の打開について,そしてオットー2世とビザンツ皇女との婚姻など多岐にわたっていた。
ビザンツとの厳しい交渉の中で4か月にわたりビザンツ側の冷遇に直面したリウトプランドは,憤りと皮肉に満ちた言葉でビザンツ人の思考と行動を事細かに嘲笑,罵倒し,ときにビザンツ皇帝ニケフォロス2世フォーカスを臨場感溢れる筆致で嘲罵する。
ヨーロッパ世界最大の都市で出会った宮廷人たちやそこで見聞した儀式などについての生き生きとした記述は,10世紀のビザンツ世界とヨーロッパの国際関係を知るうえでも第一級の史料である。


9,900  (税込) (税抜 9,000 )
9784862853042, 知泉書館, 八巻和彦, 2019年11月, 菊判, 744,  

クザーヌス(1401-64)は,生涯カトリック教会の枢機卿や司教,さらには教皇代理として活動しつつ,旅の最中に多くの著作を残した。彼の著作は写本から印刷本としてヨーロッパに広まり,その影響はブルーノをはじめコペルニクス,ケプラー,ライプニッツ,カント,ヤコービ,ハーマン,ダン,レッシングなど思想家から文学者まで多くの人びとに及んだ。

Ⅰ部で著者は,クザーヌスを中世末期の人物として捉え,その多面的な活動について考察する。

Ⅱ部では,クザーヌスの主体性論と近代の主体性概念との違いを検討し,彼の主体性が二重構造をもち,彼が人間精神の能力を高く評価していることを解明する。

Ⅲ部では,彼の認識論は神をいかに把握されうるかにあり,人間の認識能力は本質的に限界があり,絶対的存在からの助力を必要とする。さらに認識対象への接近方法として,表象力,比喩,象徴が強調される。

Ⅳ部では,世界はいかなる根拠で存在するかが問われ,「世界とは神の現れである」ことが明らかにされる。

Ⅴ部では,クザーヌスが教会のあり方をも相対化して他の宗教に対する寛容を説いた事情を明らかにする。

Ⅵ部では,愚者とか無学者を意味するイディオータが弁論家や哲学者との対話により,立場が逆転する姿を通して思想家クザーヌスの本質を見出す。
世界的にクザーヌスへの関心が広がる中,本書は半世紀に及ぶ研究の集大成であり必読の基本文献となろう。


8,250  (税込) (税抜 7,500 )
9784901654142, 知泉書館, 若林啓史:著, 2003年5月, A5, 350, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

初期アッバース朝の8世紀に東方キリスト教の教義をアラビア語で表現した最初期の神学者アブー・クッラの業績を、聖像画(イコン)論争を手掛かりに考察、東方キリスト教の位相およびキリスト教文化とイスラーム文化の接点で生起した思想現象を初めて解明する。

序章 本書の課題と歴史的背景
第1章 テオドロス・アブー・クッラについて
第2章 正教会における聖像画破壊運動(イコノクラスム)
第3章 ダマスクスのヨハネ
第4章 画像に関するイスラームの教義
第5章 イスラーム教徒の画像への対応
第6章 アブー・クッラの『聖像画崇敬論』
第7章 『聖像画崇敬論』が提起する問題の広がり


16,500  (税込) (税抜 15,000 )
9784862853004, 知泉書館, 若林啓史:著, 2019年8月, A5, 944,  

1860年,オスマン帝国統治下にあったシリアの中心都市ダマスクスで発生した宗派抗争事件は,多くの犠牲者と広範囲にわたる商店や家屋,宗教施設の破壊という甚大な被害を出した。この事件は,これまで必ずしも正面から扱われてこなかったが,本書は,事件関係者の回想や記録文書など多くの一次史料を収集し,事件の政治的・外交的側面だけでなく,宗教的・社会的側面にも光を当てる意欲的な研究成果である。

中東におけるキリスト教徒共同体の歴史と性格,イスラーム支配下におけるキリスト教徒の境遇,さらにはオスマン帝国の近代化政策や,欧州列強の角逐と諸教会の関係など,広範な視点から時代背景を解説。その上で著者は,事件に直面した3人のキリスト教徒と3人のイスラーム教徒を選び,人物像や一族の歴史,事件に際してのそれぞれの思考や行動を詳細に分析し,1860年事件の多角的で包括的な解明を試みる。終わりに,事件発生後の顚末をたどり,後世に及ぼした影響をも指摘する。

付録として,未だ写本しかないアラビア語史料の中から重要な二作品を初めて校訂・翻訳し,収録する。
わが国でも知られていないこの事件の全貌を通して,現代の中東をより深く知るためにも,歴史的背景や多くの知見を提供する,示唆に富む書物である。


3,850  (税込) (税抜 3,500 )
9784862859396, 知泉書館, 西洋中世学会, 2018年12月, B5, 280, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

特集:ビザンツ帝国と中世地中海世界

〈序文〉
ビザンツ帝国と中世地中海世界/大月康弘

〈論文〉
聖母マリア伝図像の東西/益田朋幸

アプシス図像の東西/瀧口美香

プロセッションがめぐるところ/太記祐一

党派活動(ハイレシス)としてのビザンツ異端論/草生久嗣

12世紀ビザンツにおける移住者と文化的多元主義/マクシミリアン・C・G・ラウ(渡辺理仁訳)

 

ほか

"【取り寄せ】西洋中世研究 第10号" の最低購入数は 1 です.


9,350  (税込) (税抜 8,500 )
9784862850119, 知泉書館, 岩村清太, 2007年5月, A5, 496, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

古代末5世紀の混乱期から今日の西欧世界の原型が形成されるカロリング期にわたって、自由学芸と教育がいかに変遷したかを解明した待望の書。

前半では、ボエティウスの後に東ゴートの文教政策を継いだカッシオドルスが、アウグスティヌスによる自由学芸のキリスト教化を中世へとどのように移植したのか、さらに西ゴートのイシドルス『語源誌』の百科全書的教養の意義を探る。

カール大帝による教育振興、学校開設、聖職者の育成と民衆教化の狙いは、政教一体の帝国の確立と東ローマ帝国に対抗しうる宗教的、政治的機構の創出にあったが、それに関わったアルクインやラバヌスの自由学芸観をとおしてカロリング・ルネサンスを明らかにする。

後半は、オルレアンのヨナスの教育論によって中世のキリスト教的人間観と教育理念に光をあて、また世俗の女性で豊かな教養をもつドゥオダの『鑑』をとおして貴族の子弟教育を考察、最後に聖書物語などの聖画像や歌唱、説教などが大衆教育に果たした役割を分析、中世教育の実態に迫る。 

 

第1部  自由学芸の伝統と継承(カッシオドスによる自由学芸──『聖・俗学教範』を中心に/ラバヌス・マウルスによる自由学芸──『聖職者の教育』を中心に  ほか)

第2部  キリスト教教育の展開(西欧中世における貴族の教育──オルレアンのヨナスの『信徒の教育』を中心に/カロリング期における民衆の宗教教育  ほか)


7,920  (税込) (税抜 7,200 )
9784862852687, 知泉書館, C.N.コックレン:著 金子晴勇:訳, 2018年2月, 新書変型, 926, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

著者はローマの最盛期であるアウグストゥス皇帝から西ローマ帝国の滅亡に至る400年のローマ史を再建,修築,新生という三つの時代区分により解明する。それは古典文化による皇帝アウグストゥスの治世とその崩壊,ローマ帝国におけるキリスト教の受容,そしてキリスト教による文化の更新とその実現という,ローマ史とそれに続くキリスト教古代がもつ多様性を独創的な構想力により捉えられた。さらに啓蒙期の所産でキリスト教を軽視したギボン『ローマ帝国衰亡史』と比べるとその独自性が際立ってくる。

 

【目次】

序文

第 I 部 再建
第1章 アウグストゥスの平和――復興した共和制
第2章 ロマニタス 帝国と共和国
第3章 永遠のローマ,権力の神格化
第4章 カエサルの国は悪魔の国である

第 II 部 修築
第5章 新しい共和国 コンスタンティヌスと十字架の勝利
第6章 アテネはエルサレムと何の関係があるのか。コンスタンティヌス主義の袋小路
第7章 背教と反動
第8章 新しい共和国における国家と教会
第9章 テオドシウスと国家宗教

第 III 部 新生
第10章 教会と神の統治
第11章 わたしたちの哲学 人格性の発見
第12章 神の必然性と人間の歴史

解説
あとがき
ローマ帝政以前以後の略年表
索引


3,850  (税込) (税抜 3,500 )
9784862859358, 知泉書館, 西洋中世学会, 2017年12月, B5, 218, こちらの商品は出版社/メーカーからのお取り寄せとなります。取り寄せ所要日数は通常7~10日程度です。ご注文後のキャンセルはお受けいたしかねます。また、メーカー・出版社の在庫状況によってはお取り寄せが出来ない場合もございます。予めご了承くださいませ。

特集:托鉢修道会――中世後期の信仰世界
〈序文〉
托鉢修道会――中世後期の信仰世界(赤江雄一)
〈論文〉
貧しさは所有の放棄か――エックハルトの「ドイツ語説教74」を手がかりに(阿部善彦)
中世末期の説教実践――無名フランシスコ会説教師の日誌(木村容子)
14世紀におけるカルメル会の正統性と普遍的戒律観――ヒルデスハイムのヨハネス『擁護者と誹謗者の対話』をめぐって(鈴木喜晴)
瞑想するドミニコ会士――ローマ,サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ修道院の失われた第一廻廊装飾壁画(荒木文果)

論文
教会観とアリストテレス――秘跡の霊印を巡るボナヴェントゥラと初期トマス・アクィナスの対抗(波多野瞭)
ピントリッキオによる授乳の聖母の図像――中世の板絵からの図像利用(永井裕子)

講演
争われる種/起源としてのアブラハム(アンナ・サピア・アブラフィア〔小澤実 訳〕)

研究動向
十字軍研究動向――「十字軍・十字軍国家学会」刊『十字軍』の統計より(櫻井康人)

新刊紹介

彙報
西洋中世学会第9回シンポジウム報告(図師宣忠)
2016年度若手セミナー報告(佐々井真知・岡本広毅)

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3,520  (税込) (税抜 3,200 )

本書は他の宗教改革伝記集と違い,有名無名の区別なく宗教改革史にとって重要な人々が紹介される。しかし本書は単なる伝記の寄せ集めではなく,一つのまとまった宗教改革の歴史叙述として織り上げられた。宗教改革500年を迎えて他に類のない,一般読者向けの最適な概説書である。

 

【目次】

日本語版への序文

開拓者
ロッテルダムのエラスムス
ヨハンネス・ロイヒリン

宗教改革者
マルティン・ルター
フィリップ・メランヒトン
マルティン・ブツァー
バルタザール・フープマイヤー
ウルリヒ・ツヴィングリ
ジャン・カルヴァン

対抗者
ヨハンネス・エック
レオ10世

アウトサイダー
ウルリヒ・フォン・フッテン
トーマス・ミュンツァー

女性たち
カタリーナ・フォン・ボラ
カタリーナ・ツェル
カリタース・ピルクハイマー

政治家
カール5世
フリードリヒ賢公
フィリップ・フォン・ヘッセン
フランツ・フォン・ヴァルデック

ユダヤ人
ロスハイムのヨーゼル
エリアス・レヴィタ

芸術家
ルーカス・クラナッハ

訳者あとがき(菱刈・木村)
年表
図版一覧
参考文献
索引(人名・地名・事項)


4,950  (税込) (税抜 4,500 )

トレント公会議や対抗宗教改革はイタリア近現代史の主題である。日本語版書き下ろしでアジア関連の終章を付した、イタリアを代表する碩学による格好のイタリア近世史入門。カトリックとイタリア近世史を軽視するわが国の傾向に一石を投じるヨーロッパへの新たな扉である。

 

【目次】

アドリアーノ・プロスぺリ教授について(福谷 茂)

序 トレント――その地理と選択の歴史
第1章 公会議をめぐる論争
第2章 教皇権の勝利
第3章 公会議における最初の問題 規律の改革か,教義の討議か?
第4章 公会議という地震計を通して見るヨーロッパ政治
第5章 教義に関する諸問題
第6章 改革に関する諸問題
第7章 公会議の解釈
第8章 改革決議の実行
第9章 トレント公会議の秘蹟と社会の習慣
第10章 トレント,過ぎ去らない歴史
第11章 史料と研究史
終章 イリアスとオデュッセイアの間 トレント公会議と非ヨーロッパ圏の文化

A・プロスペリと近世イタリア宗教史研究(大西克典)

読書案内
原注・訳注
索引