聖ヤコブ崇敬はいかに生成され、いかに各地へと伝わったのかイベリア半島における聖ヤコブ崇敬の始まりとラテンアメリカでの展開について、図像やサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼も考察しながら歴史的経緯の一端を明らかにするとともに、中世スペインと植民地時代メキシコまでの時間・空間を一つの流れの中で描き出す。
墓、憎悪、迫害、犬の哲学、転倒、ユダヤ人の王、嘲りの即位式、十字架の玉座といった異質な概念から「イエス運動」の本質に迫る。
第1章 憎悪と転倒―出発点としての迫害(人類に対する憎悪;マルコ福音書における迫害の経験;迫害の始まりの状況)第2章 転倒のエートス(放棄と信従;転倒行為としての悪魔祓い)第3章 転倒の書としてのマルコ福音書(福音と反‐福音;受難物語における転倒;付論 空の墓で)
キリスト教伝道における異文化内開花=実生化とは何か。 日本のカクレキリシタンを例に、宗教多元主義のあり方を探る。
【目次】
はじめに 第一章 母なるものを求めて―遠藤周作文学における宗教思想の展開 第二章 日本的汎神性と母なるもの―遠藤周作文学(第一ステージより) 第三章 聖書にたどる「実生化」の玄義 第四章 日本におけるキリスト教の受容と理解―根獅子キリシタン 第五章 日本におけるキリスト教の受容と理解―茨木カクレキリシタン 第六章 長崎に伝承される聖書物語『天地始之事』現代語試訳 第七章 キリシタン神学の可能性―『天地始之事』を巡って 第八章 隠れ(Crypto)の信仰・生き方に学ぶ 第九章 愛と救済―遠藤周作『深い河』より 第一〇章 ジョン・ヒックの宗教多元主義再考―言表不可能な実在が意味するもの おわりに 初出一覧