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科学は古代ギリシアの学理を11世紀キリスト教神学の路線上で復活させた思考法の所産にほかならない。ゼノン、アナクサゴラス、アンセルムスらの遺産を読み解き、近代科学的思考様式の基盤に迫る。『時間の民族史』、『神学と科学』、『時間の思想史』に続き、中世ヨーロッパの神学と近代科学の関係をめぐる科学史研究の集大成。
【目次】
序 文
緒 論 科学の客観性を基礎づける議論
思考法の変革と客観性の獲得
自然科学の構成的認識と理性の自己確認
検証の限界と客観性のより深遠な基礎
客観性を基礎づける判決の威力
主観相互で支え合う客観性の宿命
過去の改変とキリスト教の信仰
第一章 ギリシア的学理の基盤崩壊と不可抗的逆理
第一節 逆説的な諸論証の実像と未来時制の根拠
第二節 逃走者の永続的な先行と瞬間速度の発見
第三節 革新的な運動論の破綻と学理復活の方途
第二章 伝統的自然理解の換骨奪胎と定量的自然論
第一節 諸性質の定量的な表現と生成消滅の否定
第二節 創成前の無規定な宇宙と秩序形成の過程
第三節 ヌースの合理的な支配と回帰現象の解明
第三章 ヨーロッパ中世の神学革命と存在論的証明
第一節 伝統的な聖体観の批判と神学論争の進展
第二節 実証性の体験的な基盤と信仰箇条の演繹
第三節 西欧的な共同体の紐帯と千年王国の預言
第四章 間主観的客観性の成立基盤と遠近法的過去
第一節 諸空間の総合的な統一と経験認識の構造
第二節 視点間の対称的な関係と相互変換の一致
第三節 基準系の相対的な自律と間主観性の死角
補 論 信仰の姿勢表明と二階層の理解
緒論註
第一章第一節註
第一章第二節註
第一章第三節註
第二章第一節註
第二章第二節註
第二章第三節註
第三章第一節註
第三章第二節註
第三章第三節註
第四章註
補論註
参照文献・史料(略記号一覧)