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説明
11世紀後半から12世紀初頭にかけ、聖職者の任命方法をめぐり、教皇座(教権)と西欧諸君主(俗権)とのあいだで巨大な闘争が起きた。一方は宗教的領域への侵害と道徳的腐敗に対する危機感から俗人叙任を排そうとし、他方はカロリング時代以来の権利が喪失することを恐れ、司教職への保護支配を続けようとする。つまり事の中心には、正しい秩序をめぐる理念的対立があった。争いは、“カノッサの屈辱”で頂点に達し、“ヴォルムスの協約”をもって終結する。本書は、その過程を諸原因に立ち返りつつ、広い視野から詳述。西欧の転換期がいかなるものであったかがつぶさに示される。
第1章 教会法的伝統と俗人による簒奪
第2章 教会の反撃
第3章 グレゴリウスの法規
第4章 世俗諸君主の反対
第5章 グレゴリウス七世時代の叙任権をめぐる議論と論争
第6章 ウルバヌス二世の教皇在位期(一〇八八‐一〇九九年)
第7章 十二世紀初頭のイギリスとフランスの叙任権闘争
第8章 ドイツの叙任権闘争 一一一一年の危機
第9章 ヴォルムスの協約
第10章 教会の解放