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長崎・外海の潜伏・かくれキリシタンの人たちは、農林魚民から町人、武士や大名に至るまで、あらゆる暴虐や圧政に屈することなく、江戸時代の禁教期を生き延びて、明治期にいたるまでキリスト教の信仰を守り続けた。
そこでは幾世代にわたって伝承されるなかで習俗と共存した、極めて特異な信仰世界が垣間見れるものであり、現在にいたるまで受け継がれている。
潜伏キリシタンの教えは、伝来当初の「カトリック」から日本独自の「かくれキリシタン」という宗教形態を創り出した。
旧約・新約聖書から編み出された「天地始之事」で聖地・外海の空間を設定し、日本語による教会祝日表(太陰暦)によって編纂されたバスチャンの「日繰り」で時間軸を規定し、「オラショ(祈りの言葉)」を唱えて日常の信仰生活を送っていた。
これらは迫害の中で潜伏を余儀なくされたキリシタン達の信仰生活の規範となったものであり、今日なおかくれキリシタンの中で外海・五島に継承されている。
民俗学、文献史、美術史、宗教学、考古学、石造学など各領域の論考を収録し、新しい視点から多面的かつ学際的に外海南部の潜伏キリシタン世界を描く。