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説明
キリスト教図書出版社から本を出してみないかと勧められたとき、私は思わず二の足を踏みました。
果たしてこのような内容の事を表の世界にさらしていいのだろうか?
けれど思い直して出版を依頼したのには訳があります。
HDのような遺伝性神経難病は「おおっぴらに出来ない病気」の最たるものであります。
これらの患者家族の多くは自分たちの秘密を世間に知られまいとして、自分たちの社会的関係を切断する傾向にあります。
他方、当事者情報を持たない社会は事情も分からぬまま、彼らに対して一方的な偏見を抱くようになります。
それにより患者家族はいっそう窮地に追い詰められていきます。
このような下降スパイラルはどこかで断たなくてはなりません。
私は同じ難病家族の一人として、自分たち自身の思いを「あけすけ」に語ることは患者家族にとっても社会にとっても無意味なことではないと判断しました。
むしろこの度は、どん底に生きる難病家族の生き様を分かってもらえる良い機会ではないかと考えまして、それで「弱さをいきる」を世に問うた次第であります。
(本書「あとがき」より)