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〈遠藤周作歿後二十年記念出版。遠藤文学の全貌を現代に問う。〉
初期短篇群から『深い河』まで、主要作品16篇を軸に、遠藤文学の世界を、その全体像として考察。
前著の構成を大幅に改編し五章分を増補した遠藤研究の集大成。
私たちが生きた近代を振り返りつつ、遠藤の文学的ビジョンと想像力が、はるか先の射程をどこまで見定められるのか。
あらためて、遠藤文学の意味を問い返す。時代に向けた渾身の書。
日本的風土の深層とキリスト教との相剋。語り出される《愛の原像》。
グローバルな〈和解〉をめざす遠藤文学の現代性と世界性。
死者と生者の域を越えて、そのビジョンと想像力は、どのような《いのちのかたち》を描くのか。
精緻な読みを通して、その真髄を解明する。
目次
序論にかえて―〈文学と死〉をめぐる問い―
第1章 小説家遠藤周作の誕生―『アデンまで』から『青い小さな葡萄』まで―
第2章 二つの風土―『黄色い人』―
第3章 虚無の淵から―『海と毒薬』―
第4章 聖性と罪性―『おバカさん』―
第5章 想像力の始原―『わたしが・棄てた・女』の定位をめぐって―
第6章 甦る〈風景〉―『わたしが・棄てた・女』―
第7章 異邦人の孤独―『留学』―
第8章 地上の哀しさー『哀歌』―
第9章 〈闇〉の言説―『哀歌』再論―
第10章 煙はなぜ、黄昏の空に真直にたちのぼるのか。―『満潮の時刻』―
第11章 和解の物語―『沈黙』―
第12章 同伴者イエス―『死海のほとり』―
第13章 沸騰する文体―『死海のほとり』再論―
第14章 〈事実〉と〈真実〉の間―『イエスの生涯』―
第15章 回帰の旅程―『侍』―
第16章 悪という深淵―『スキャンダル』―
第17章 〈愛〉の言説―『深い河』の実験―
第18章 日本人につかめるイエス像―『沈黙』から『侍』まで―
第19章 ある躊躇と疑念―『侍』瞥見―
初出一覧
あとがき
索引