14歳の妃は張りつめたまなざしで何を見つめていたのか―宗教改革に揺れる1526年、宮廷画家が描きとった“いのちの鼓動”。第1章 ドイツ・ルネサンスのすがた(デューラー、神の手を持った画家;クラーナハは永遠のナンバー2か;分水嶺の神聖ローマ皇帝カール五世)第2章 宗教改革は、何を変えたのか(ルターとザクセン三代選帝侯;職人集団と騎士・農民戦争;カトリックか、プロテスタントか)第3章 宮廷画家の描く「結婚」のかたち(ルターと修道女カタリーナ・フォン・ボーラ;ラインのプリンセス、ジビュレとエルベのプリンス、ヨハン・フリードリヒ;イギリス国王ヘンリー八世とアン・オブ・クレーヴズ;ルカス・クラーナハと妻バルバラ)第4章 ドイツ・ルネサンスの絵画世界絵巻(クラーナハ工房のしごと;永遠のテーゼ「メランコリア」;揶揄の精神とカリカチュア)第5章 時代は有為転変しつつ、展開する(「シュマルカルデン戦争」とは;クラーナハ(子)、『ワイマール祭壇画』を描く)
西ヨーロッパの古代から中世への歴史的転換にあたって、カール大帝が政治や文化や経済にはたした寄与は極めて大きなものがあった。それはこの傑出した王の個人的資質もさることながら、彼が活躍した時代相との幸運な巡り合わせというものもあった。本書ではこれを、西暦一千年紀後半に世界システムが実在したとする最新の仮説を軸とした文脈の中で考察した。カール大帝のヨーロッパ1 カール大帝の系譜を遡る2 外征と国際関係3 カールが築いた統治組織4 社会と経済の姿5 文芸の復興と宗教規律の改革6 「西ローマ皇帝」戴冠と「帝権の革新」
皇帝カール五世の統治した時期、そして、彼の統治した国々を中心として、どのような出来事、思想運動が起こっていたのかを詳述。南北ドイツ、スイスの主要な都市について、市民の動向を追求し、社会運動としての宗教改革像、また1525年を中心に起こったドイツ農民戦争と再洗礼派の運動の叙述に大幅なスペースを割いた。
カール五世の皇帝登位ルター、宗教改革の口火を切る皇帝カールとルターの対決―ヴォルムス帝国議会第二次イタリア戦争大航海時代、そして、新大陸の植民地化宗教改革、広がるスイスの宗教改革騎士戦争ドイツ農民戦争(1)―中世末期・近世初頭のドイツ農村事情ドイツ農民戦争(2)―『十二カ条』〔ほか〕
スコットランドで演じられた盟約者たちと王党派の間の争い、アイルランドにおける民族的・宗教的反乱、イギリス人の戦争、宗教的思索からの逸脱など、チャールズ1世の治世の5年間の出来事や話題を詳細に叙述する。
第1部 平和から戦争へ―一六四一年一一月‐一六四三年四月(ロンドン、失わる―一六四一年一一月‐一六四二年一月;戦争の準備―一六四二年二月‐七月;秋の会戦―一六四二年八月‐一一月;不満の冬―一六四二年一一月‐一六四三年四月)第2部 第一次市民戦争―一六四三年四月‐一六四五年一〇月(運命の並衡―一六四三年四月‐九月;スコットランド人の到来―一六四三年九月‐一六四四年三月;北部と西部―一六四四年三月‐一〇月;軍隊の改革―一六四四年一〇月‐一六四五年四月;騎士党の最後―一六四五年四月‐一〇月)第3部 戦争と平和のあいだ―一六四五年一〇月‐一六四七年一月(長老派と独立派―一六四五年一〇月‐一六四六年四月;国王とスコットランド人)
中世宗教学の金字塔。『ベネディクトゥス戒律』への回帰、その西欧修道理念に基づく生活への回帰に、十二世紀宗教改革の真の姿を見る。導入さまざまな改革者改革の類型とその条件改革のレトリック改革の現実(共同体内の変動;修道活動と世俗社会)改革の霊性十二世紀社会のなかで
西洋中世の人々が生きた豊穣なる世界―。動植物や人間から、四大や宇宙、天使や魔女、仲間と他者、さらには楽園と煉獄まで、文学・図像・伝説・夢を彩る広大な想像界を縦横無尽に論じ、その全体構造を解明する。心性史・社会史を刷新する「イマジネールの歴史学」の集大成。想像界の歴史学第1部 植物・動物・人間(薬効の在処―植物から人体へ;庭園の変容;鸚鵡と梟;動物観と動物イメージの変遷;魂の姿)第2部 四大から宇宙へ(地―母なる大地;水―水浴と温泉のイマジネール;火―神秘と怪異の光;風―翼に乗って;宇宙と世界の形)第3部 聖と魔(天使の訪れ;聖心崇拝;魔術師ウェルギリウス;魔女の先駆け;魔女のダンスとサバトの成立)第4部 仲間と他者、現世と異界(権力と権威のイメージ;友愛の印;ユダヤ人人相書;糸巻き棒論;「地上の楽園」と「煉獄」)想像界の構造とその変容
リスボン、ゴア、マカオ、生月島、五島、天草などの歴史の現場に立ち、イエズス会士アルメイダと棄教者フェレイラ(沢野忠庵)を軸にしながら、スペイン・ポルトガルの改宗ユダヤ人=マラーノと、迫害に耐えた隠れキリシタンの運命を重ね、権力に抵抗して生き続ける人々の姿を照射した力作。プロローグ 二つの「隠れ」信徒物語第1章 加害の視点と向かい合う男第2章 フランシスコ・ザビエルと異端審問第3章 マカオの海第4章 棄教者沢野忠庵の「マラーノ性」第5章 棘を生きる人々第6章 アルメー様は何処に居るエピローグ 「非・場」からのロゴス中心主義批判
長いあいだ忘れられていたグノーシスの宗教の象徴言語や教義を、従来の研究とグノーシス文書を踏まえて総合的に探究する。今日の人間精神と思考に改変を迫る書。1986年に出版され版を重ねた同書に、ハンス・ヨナスによる英語版第3版への序文を追加した増補版。
第三版への序文謝辞序文第二版への序文第三刷に際しての注記(1970年)第一章 序論――ヘレニズムにおける東方と西方第一部 グノーシイスの文学――主要教義、象徴言語第二章 グノーシスの意味とグノーシス運動の広がり第三章 グノーシス的イメージとその象徴言語第二部 グノーシス主義の諸体系第四章 シモン・マグス第五章 『真珠の歌』第六章 世界を創造した天使たち。マルキオーンの福音第七章 ヘルメス・トリスメギストスのポイマンドレース第八章 ヴァレンティノス派の思弁第九章 マニによる創造、世界史、そして救済第十章 コスモスのギリシア的評価とグノーシス的評価第十一章 ギリシアの教説とグノーシスの教説における徳と魂第十二章 グノーシス主義の領域における最近の発見第十三章 エピローグ――グノーシス主義、実存主義、ニヒリズム訳者あとがき訳者後記参考文献・文献補遺固有名詞索引
知と文化の再生はいかにして成ったか?中世の知が色褪せ、いまだ科学革命の曙光が射さぬ闇のなかで、自然の理の解明を試みて自然魔術師と呼ばれた者たちと時代の煌めき。ルネサンスに学究生活を捧げた著者が集大成として世に問う渾身の評論。第1部 イタリア・ルネサンスの自然観と宇宙(「数学」を岐路として;さまざまな視点からみつめた自然観;四元素・四特質・四気質・四体液;三位一体―魔女狩り、自然魔術、科学革命;コスモロジー)第2部 両義的な、二人の巨人(三次方程式の解法の公表者ジローラモ・カルダーノ(一五〇一‐七六);汎感覚論者トンマーゾ・カンパネッラ(一五六八‐一六三九))第3部 人文主義と宗教改革(ルネサンスと人文主義;宗教改革;人文主義と宗教改革)
“キリスト教対イスラーム”を超えて多様な人々からなる社会の全体像へ。第1回十字軍によって生まれた「聖地防衛国家」は、内と外の異教徒とともになぜ存続しえたのか。祈る人、戦う人、働く人が都市と農村で形づくる王国の姿を、ヨーロッパとの関係も含め、精緻な史料分析から初めて解明した画期的労作。第1部 祈る人―教会人たち(教会形成と王権;国王戴冠と司教任命;国政面における王権と教会;一三世紀の聖地周辺域における托鉢修道会士の活動)第2部 戦う人―騎士修道会、およびフランク人に仕えた現地人たち(聖ヨハネ修道会の「軍事化」に見る国制構造の変化;騎士修道会と国王宮廷会議;騎士修道会の発展;フランク人に仕えた現地人たち)第3部 働く人(1)―ブルジョワと都市社会(前期エルサレム王国における都市統治構造―都市エルサレムのブルジョワを中心に;十字軍国家における都市統治構造;「医者」から見る都市社会の構造;ヨーロッパ商業都市と十字軍国家)第4部 働く人(2)―フランク人と農村社会(「ナブルス逃亡事件」とその背景;十字軍国家における農村支配―通訳官・書記官・ライース;フランク人による農村支配の変容とほころび―マルシリオ・ゾルジの『報告書』を手がかりに;フランク人による農村支配の限界)
アジアとヨーロッパをつなぐ首都コンスタンティノープルを中心に、千年以上にわたる歴史を刻んだビザンツ帝国。ローマ帝国の継承国家として地中海に覇を唱えた4世紀頃から、イスラム勢力や十字軍に翻弄される時期を経て、近代の到来目前の1453年に力尽きた。賢帝や愚帝がめまぐるしく登場し、過酷な政争や熾烈な外交および戦争を展開する一方、多様な文化が花開いた。波瀾万丈の軌跡をたどり、この帝国の内実を描き出す。序章 ビザンツ世界形成への序曲―四~六世紀第1章 ヘラクレイオス朝の皇帝とビザンツ世界―七世紀第2章 イコノクラスムと皇妃コンクール―八世紀第3章 改革者皇帝ニケフォロス一世とテマ制―九世紀第4章 文人皇帝コンスタンティノス七世と貴族勢力―一〇世紀第5章 あこがれのメガロポリスと歴史家プセルロス―一一世紀第6章 戦う皇帝アレクシオス一世と十字軍の到来―一二世紀終章 ビザンツ世界の残照―一三世紀後半~一五世紀
歴史とはなにか。ユダヤ民族とは何か。ユダヤ古代史における重要書。地中海世界はローマが席捲し、ユダヤ民族のなかからはイエスが登場するという大きな変動の時期にエルサレムで生まれたユダヤ人の軍人、そして歴史家であるヨセフス。自らの出自とユダヤ民族についてを論じた「自伝」、そして他民族の歴史家によるユダヤ民族への批判的評価に対して反駁した「アピオーンへの反論」。偏見と暴力にあらがいながら、現在にも通じる問題と向き合い続けた古代ユダヤにおける重要な思想家ヨセフスの二つの著作に、第一人者の解説をあらたに付した決定版。自伝(ヨセフスの家の系譜;ヨセフスの受けた教育;ローマへの旅;開戦前夜のエルサレム;ケスティオスの敗退とシリア各地におけるユダヤ人虐殺 ほか)アピオーンへの反論(エパフロディトスへの献辞(第1章);どちらの民族が歴史研究の適格者か―ギリシア人かユダヤ人か(第2章~第12章);ユダヤ民族の古さについて(第13章~第23章);マネトーン、カイレーモーンの誹謗と中傷について(第24章~第35章);アピオーンによる中傷への反駁(第1章~第13章) ほか)
墓、憎悪、迫害、犬の哲学、転倒、ユダヤ人の王、嘲りの即位式、十字架の玉座といった異質な概念から「イエス運動」の本質に迫る。
第1章 憎悪と転倒―出発点としての迫害(人類に対する憎悪;マルコ福音書における迫害の経験;迫害の始まりの状況)第2章 転倒のエートス(放棄と信従;転倒行為としての悪魔祓い)第3章 転倒の書としてのマルコ福音書(福音と反‐福音;受難物語における転倒;付論 空の墓で)
増補新版に基づく待望の新訳!
「ゴンザレスのキリスト教史」は、2002年・03年に邦訳上下巻が刊行されて以来、わが国で最も信頼できる通史として多くの読者を獲得してきた。キリスト教史上の重要人物の生涯や思想、教会の歩みを、社会全体との関わりの中でエピソードを追って物語のように読み進めることができる。
2010年に刊行された原書下巻の増補新版は、現代史を中心に8つもの章が増補された。本書は、その増補新版に基づく待望の邦訳であり、その結果旧版より80頁以上も増えた。
キリスト教が近代世界の形成の中でたどった激動の歴史を詳述し、変化する社会的文脈況の中で信仰のかたちが多元化・多様化する状況を活写する。
「来たるべき方」は、皇帝か? キリストか?
文献資料、碑文、とくに古銭に関する該博な知識を駆使しながら、ユリウス・カエサルからコンスタンティヌス帝にいたるローマ史を素描。神格化された皇帝の崇拝を強要する全体主義的権力に対して命を賭して抵抗し、殉教した多くのキリスト者の勝利の告白を書き記した古典的名著。ナチス全体主義に対する厳しい批判と抵抗の書としても知られる。
"【取り寄せ】第二バチカン公会議公文書 改訂公式訳 オンデマンド版" の最低購入数は 1 です.
現代人が陥った精神的苦境の根本にあるものとは何か。「生きる意味」や「自分らしさ」の探求、スピリチュアルなものの流行は、「世俗化」といかに関係するのか。壮大な歴史的展望のもとに宗教・思想・哲学の曲折に満ちた展開を描き出す記念碑的大著、ついに邦訳。第4部 世俗化の物語(動員の時代;本来性の時代;今日の宗教)第5部 信仰の条件(内在的枠組み;交差圧力;ディレンマ1;ディレンマ2;近代の不穏な前線;回心)エピローグ 数多くの物語
近現代の特徴の一つとされる「世俗化」。しかし、人々はさまざまなかたちで信仰や霊性とともに生きている。では、西洋において神信仰はいかにして力を失い、個人の選択肢の一つとなったのか。壮大な歴史的展望のもとに宗教・思想・哲学の曲折に満ちた展開を描き出す記念碑的大著、ついに邦訳。第1部 改革の仕事(信仰の防波堤;規律訓練社会の出現;大いなる脱埋め込み;近代の社会的想像;観念論の亡霊)第2部 転換点(摂理に基づく理神論;非人格的秩序)第3部 ノヴァ・エフェクト(近代の不安;時間の暗い深淵;広がる不信仰の宇宙;一九世紀の軌跡)