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説明
ティリッヒは「聖なるもの」という宗教的経験から出発し、シェリングの二つの原理、すなわち「同一性の原理」と「対立の原理」の総合という第三の道を歩む中で、その弁証学的神学を発展させた。
そして、その総合を可能としたのが、ティリッヒが新たに捉えた信仰義認論であり、その中核に本書が〈逆説的合一〉と呼ぶ原理が存在したのである。
そして、その原理は、ティリッヒにのみ留まるものではなく、広く西洋思想全般にも見られるもので、それはティリッヒが「アウグスティヌス的フランシスコ的伝統」と呼ぶ一連の思想的潮流であり、基本的には存在における神と人間との逆説的合一と認識における直接的神認識をその特徴とする。
それは、極言して言えば、神から出発し、神に立ち返る思想である。
ただし、そこには人間の罪という根本的な対立があるため、それを克服したキリストを媒介とする逆説的合一を不可欠とし、そのため、それを中核とする思想でもある。
【目次】
序 論
第Ⅰ部 ティリッヒ神学の特質
第1章 ティリッヒ神学と「聖なるもの」
第2章 弁証学的神学の理念
第3章 弁証学的神学の構造
第4章 実存主義的特質
第Ⅱ部 ティリッヒ神学と逆説的合一の思想
第5章 初期ティリッヒにおける二つの原理と総合への道
第6章 信仰義認論(一)――その背景と思想
第7章 信仰義認論(二)――恩寵としてのプロテスタント原理
第8章 認識における恩寵――存在論的認識の優位
第Ⅲ部 ティリッヒ神学と逆説的合一の系譜
第9章 ティリッヒとアウグスティヌス――受動的逆説と能動的逆説
第10章 ティリッヒとルター――神秘主義をめぐって
第11章 ティリッヒとフランシスカニズム――〈coincidentia oppositorum〉をめぐって
終 論