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ナチスの戦争犯罪の追及に生涯を捧げ、ホロコーストの主要組織者、アドルフ・アイヒマンをフランクフルトから追跡し、裁判に引きずり出した検事長、フリッツ・バウアーの評伝!!
1963 年、フランクフルトで大規模な裁判が開始された。戦後もドイツに巣食うナチ残党などからの強い妨害に抗しながら、この裁判を前進させた1人の男がいる。ヘッセン州検事総長フリッツ・バウアーである。彼はナチ犯罪の解明のために闘った。この時代に、かくも激しく敵視され、排除された法律家は他にはいない……。
【目次】
日本語版への序文
序文
第一章 アイヒマンを裁判にかけたドイツ人―フリッツ・バウアーの秘密
第二章 ユダヤ教徒としての生活―戦後の評価が定まらない法律家が語らないこと
無口な熱血漢―バウアー博士の沈黙
それへの帰属を望む一つの家族―帝政時代の幼少期
チャヌッカとバール・ミッツヴァ―自意識を育むための教育
第三章 一九二一年から二五年までの人格形成期―才能の開花
二三人の友人
ユダヤ学生連合
「ドイツ的なものに対する信仰告白」―シオニストとの軋轢
チュービンゲン―虎の穴
産業界の第一人者が喜ぶ博士論文
第四章 ワイマール共和国の裁判官―浮上する災いとの闘いのなかで
執務室のドアをノックする音
ドイツ国旗党の旗の下に結集した赤色活動家―平行線をたどる司法という世界
ユダヤ人バウアーの態度を隠蔽する司法省?
クルト・シューマッハーとの二人三脚―突撃隊との街頭闘争
第五章 強制収容所と一九四九年までの亡命
強制収容所のなかで
一九三六年 デンマーク―保護観察付きの犯罪者のように
隔絶状態の試練
背後から迫るドイツ人
一九四三年 スウェーデン―ヴィリー・ブラントと肩をならべて
フリッツ・バウアーはいかにして博士論文を反故にしたか
「時期尚早である」―一九四五年以降の政治と歓迎されざるユダヤ人
第六章 七月二〇日の人々の名誉回復―フリッツ・バウアーの功績
亡命者とナチの亡霊の対決―一九五二年のレーマー裁判
一九五〇年 ブラウンシュヴァイクの検事長
「人々をすぐさま驚かせた質問」―レジスタンスを議論する国
「級友のシュタウフェンベルク」―歴史を記述した最終弁論
第七章 「謀殺者は我々のそばにいる」―検察官の心模様
何のために処罰するのか?
「私は、自分がどこに向かおうとしているのかを自覚していました」
―人道的な刑法を夢見て
前進の最先端―一九二八年の若き裁判官
一九四五年のニュルンベルク裁判―光り輝く模範であり、威嚇の実例でもある裁判
「君たちは、否と言うべきであったのだ」―法律違反を求めた検察官
第八章 偉大なるアウシュヴィッツ裁判 一九六三~一九六五年―その主要な成果
休廷中のコカ・コーラ
世界が未経験な出来事を演ずる舞台―バウアーの業績
無神論者がイエス・キリストと議論する(が、モーセとは決して議論しない)理由
強制収容所の一断面―バウアーの戦略
客観的に被害者ではない「被害者」としての対峙
舞台装置の背後に身を隠した舞台監督―バウアーの個人的役割
第九章 私生活の防衛―フリッツ・バウアーの葛藤
自由に生きる人―バウアーのプライベート
刑法典に残留している反動的なカビと検事長の義務
同性愛の友人―一七五条をめぐって論争するバウアー
第十章 孤独への道―フリッツ・バウアーの悲劇的な運命
同胞に対する恐怖―法律家とユダヤ人
「彼と話ができる人などいませんよ」―フリッツ・バウアー率いる若き検察チーム
「左翼はいつも理想社会の話をする」―人生最後の失望
第十一章 一九六八年の浴槽での死
謝辞
解説 戦闘的法律家フリッツ・バウアー―その法的実践の現代的意義
出典・参考文献
原注
人名索引