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説明
わてはな、農家の生まれや。けど、小さい時から足に障害があって農業はできひん。そやから、物心ついた頃には牛小屋で育てられていた。尋常小学校を終えると、京都へ染色の仕事を習いに行かされた。あの頃、戦争で人手がなかったものやから、京阪電車で踏切の仕事をさせてもらえた。
ありがたいこっちゃ。
話の終わりに繰り返されるおっちゃんの「ありがたいこっちゃ」は、少年の心にずっしり響いていた。素直で心から溢れてくる「ありがたいこっちゃ」だった。真剣に仕事に取り組む日々に与えられた幸せがあった。