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説明
新約聖書はローマ帝国の内部に存在した一つの小さな宗教的サブカルチャーの文書を集めたものである。
このサブカルチャーはユダヤ教に対する新しい解釈として成立したものであるが、その後の百年の間に独自の宗教へと発展を遂げた。
二人の歴史上の人物がそれを特徴づけることとなった。
すなわち、イエスとパウロの二人である。
本書はまず彼らの生涯と活動をスケッチする。
さらに新約聖書入門としての本書は、彼ら二人によって(直接あるいは間接的に)生み出された文書の成立のプロセスを、原始キリスト教の歴史との関連において叙述する。
その際、それらの文書の文学的な様式言語がたどった発展過程に特に重点が置かれる。
また、それらの文書が内包する根本問題、つまり、いかにして一神教的な環境の直中で一個の人間(イエス)が神に並ぶ位置に場を占めるに至りえたのか、という問題が重点的に取り上げられる。
そこから浮かび上がってくるこれらの文書の形式上および内容上の特殊性は、なぜこれらの文書が古代教会の正典の中に収められることとなったのか、その理由を説明する。
[目次]
一 『新約聖書』とそれが含む文学的様式
二 ナザレのイエス
三 第一世代のイエス伝承──語録資料とイエスに関する口頭伝承
四 タルソスのパウロ
五 第一世代における手紙記述の始まり──パウロの手紙
六 共観福音書と使徒言行録──第二および第三世代の新しい文学様式
七 偽名による手紙──第一世代の手紙記述の継承
八 ヨハネ文書──福音書文学と書簡文学の結合
九 文学的統一体としての『新約聖書』への道
さらに学ぶための参考文献