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アウグスティヌス著作集12 神の国2 第6-10巻
本書は『神の国』第二分冊として、同書の第六巻から第一〇巻までの五巻を収録する。
この部分は『再考録』にみられるアウグスティヌス自身の著作計画によれば、異教徒のキリスト教に対する非難の反論を意図した第一部の後半をなすものである。
第六巻、第七巻においては、第一部にあたる第四巻・第五巻のあとをうけ、ひきつづきヴァロの『人事と神事との故事来歴』の神事の部を主たる典拠としつつ、異教徒たちが崇拝している神々なるものの正体が悪霊にほかならず、したがってそれらは、彼らの主張するようには永遠の生命など付与しうるものではないことが主張される。
さらに第八巻以降第一〇巻においては、プラトン派の神観ならびに救済観が検討され、それとキリスト教との類似性と根本的な異質性とが徹底的に分析されているのである。(「はしがき」より)
[目次]
第六巻 ヴァロの『人事と神事との故事来歴』の内容の批判を通して、神話に登場したり、国家が公認している異教徒たちの神々なるものが、永遠の生命など付与しえないことを論ずる(地上においてすら無力な神々に、永遠の生命など請い求めることの愚劣さ/神事に関するヴァロの著作にみられる曖昧さ/ヴァロは、人事と神事との関係をどのようにとらえていたか/神話的神学と国家的神学との両者は類似している ほか)
第七巻 ヴァロの『人事と神事との故事来歴』第一六巻に述べられている「選ばれた神々」といえども、永遠の生命を付与しえない(ヴァロにみられる神々の間の選抜はどう理解すべきなのか/ヴァロのいう選ばれた神々なるものの実態/神々が選抜されてくる基準の曖昧さ/選ばれた神々ほど汚点にみちている/自然的神学の奥義/星の神格化にみられる矛盾/大地の女神としての神格化にみられる矛盾 ほか)
第八巻 プラトン主義者たちの神観に対する批判を、主としてアプレイウスの「妖鬼」(ダイモン)論の検討を通して論ずる(自然哲学の問題はすぐれた哲学者たちと論ぜられるべきである/ソクラテスの教え/キリスト教信仰の真理に近い哲学/アプレイウスの説明するダイモンの性格と働き/ダイモンは身体が大気からなり、高い所に住んでいるから人間よりすぐれているのではない/ダイモンの礼拝は廃棄されるべきである/聖なる天使と人間とは共存することができる ほか)
第九巻 異教徒たちのダイモンをキリスト教の天使と比較して、ダイモンが神と人間との真の仲介者たりえないことを論ずる(神々よりも劣っているダイモンの中に、人間の魂を助けて真の幸福をもたらす善なる部分があるか/ダイモンを駆り立てる感情/人間は死すべきものでありながら、至福であることができるか/真理への道を阻止するダイモンの虚偽/聖なる天使とダイモンの知識との相違 ほか)
第一〇巻 救済観を中心とするキリスト教とプラトン主義との比較、ならびに、主として『魂の帰昇』にみられるポルフュリオスのキリスト教批判に対する反論(プラトン派は真の神を拝んでいるか/キリスト教徒の真の犠牲とは何か/天使はいかなる犠牲も望むことはない/旧約聖書にみられる神の顕現/律法の布告と天使/善き天使と悪しきダイモンとの相違/殉教者による悪霊の征服 ほか)