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アウグスティヌス著作集11 神の国1 第1-5巻
『神の国』は二二巻より成る、アウグスティヌス晩年の大著である。
『再考録』のしるすところによれば、この書は、四一〇年のゴート族のローマ侵入をきっかけに、キリスト教への批難がふき出したことに関して「栄光に満ち溢れる神の国」を弁証しようとこころみたものである。
前半の一〇巻は地の国の歴史を論じ、後半の一二巻はその中に掩われ隠されている、あるいはそれときびしく対立する神の国の歴史を論じている。
歴史の意味と目的、すなわち本来の意味での歴史は、神の国がになっている。
それゆえ、第一一巻より開始される記述は、人類の創造に始まり、普遍史をつらぬき、最後の審判を経て、天上の国の完成にいたるものであって、その構想の雄大さはほかにくらべうるものはない。(「はしがき」より)
[目次]
第一巻 蛮族のローマ侵入の際、教会が避難所となった。キリスト教徒も災難にあったが、彼らにとってそれは究極の滅びとはならない。暴行を受けたキリスト者の女性が自殺することの可否(異教徒たちの忘恩/敗者の処遇に関するカトの演説/禍福は善人にも悪人にも等しく加えられる/暴行を受けて自殺したルクレティアの場合/人を殺すことが許される場合/暴行を避けるために自殺した聖女の場合/異教徒の批難に対する答え ほか)
第二巻 異教の神々によるローマ人の道徳的退廃。神々は演劇において卑猥な仕草を許容しただけではなく、それを要求した。その道徳的退廃は個人と社会の全領域に及んだ(異教徒たちの頑迷な無理解/異教徒たちの非難を反駁する方法/神々の母にささげられる卑猥な儀式/プラトンは神々よりもすぐれていた/異教徒の快楽主義的人生観/キケロのローマ国家論 ほか)
第三巻 神々はトロイアを守ることもローマを救うこともできなかった。ローマ史におけるその無力の諸事例(異教徒はこの世の禍いのみを恐れる/神々はトロイアが滅びることを許した/神々が人間に姦通の模範を示した/神話に関するヴァロの見解/諸王の生と死/ポエニ戦争時の災害/コンコルディアの神殿造営の問題/スラの復讐による殺戮 ほか)
第四巻 ローマは神々のおかげで拡大発展したのではない。個々の神々に対する批判的考察。キケロとヴァロの宗教観(征服は幸福をもたらすか/正義なき王国は大盗賊団である/アッシリア王ニノスの征服欲/多くの神々の役割とユピテル礼拝との関係/ローマの発展には不正も一役買っている/ユピテルは幸福を与える真の神ではない ほか)
第五巻 占星術によって運命を予知することはできない。自由意志と神の摂理とについて。かつてローマ人は領土を拡大したが、それは彼らの名誉欲と支配欲によるものであった。キリスト者皇帝にあたえられる真の幸福とそのはたすべき義務とについて(運命は星の位置によって決定されるか/ヤコブとエサウの例/占星術は成り立たない/神の予知を否定するキケロに対する批判/ストア哲学の運命論/名誉欲と支配欲の相違/キリスト者皇帝のあるべき姿/テオドシウス帝の信仰と事跡 ほか)