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〈もしコペルニクスの科学上の「転回」を「革命」と言ってよいとすれば、その革命は静かに始まったのである。革命の喧騒とは無縁に、そして人々の気づかないままに、そしてさらに重要なことに、当人もその帰趨を自覚しないままに、それは始まったのである〉
(「まえがき」より)
1543年、ニコラウス・コペルニクスが地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へと理論を革新させた、科学史第一級の古典全6巻をここに完訳。さらにコペルニクスが太陽中心説の構想を初めて著した未刊の論考『コメンタリオルス』、ヨハン・ヴェルナーの著作を批判した書簡を収録し、コペルニクス天文学のすべてを凝集する。
コペルニクスの生きたルネサンス期、天文学は依然としてアリストテレス的な自然哲学に支配されていた。『天球回転論』の出版は、折しも古代の天文学者にして天動説の泰斗・プトレマイオスの理論が復興された時代においてであった。
コペルニクスはいかにして、そしてなぜ地動説へと辿りついたのか? 全篇に付した精緻な訳注、天文学史を古代から〈コペルニクス以後〉まで詳細に綴った訳者解説「コペルニクスと革命」によって明かされる、革命の全貌。
【目次】
まえがき
旧版へのまえがき
第I部 天球回転論
『天球回転論』解題
読者へ この著述の諸仮説について
カプアの枢機卿ニコラウス・シェーンベルク〔の書簡〕
最も聖なる主・教皇パウルス3世宛て回転論諸巻へのニコラウス・コペルニクスの序文
ニコラウス・コペルニクスの『天球回転論』6巻各章の目次
第I巻
第II巻
第III巻
第IV巻
第V巻
第VI巻
訳注
付録1 種々の暦・暦元等について
付録2 ニコラウス・コペルニクスの読者宛ての戒告および訂正
第II部 コメンタリオルス
『コメンタリオルス』解題
ニコラウス・コペルニクスの小論(コメンタリオルス)
訳注
第III部 ヴェルナー論駁書簡
「ヴェルナー論駁書簡」解題
ヴェルナー論駁書簡
訳注
第IV部 解説・コペルニクスと革命
1 はじめに
2 コペルニクス以前の天文学 1
――ギリシャとローマの世界――
3 コペルニクス以前の天文学 2
――イスラームとヨーロッパの世界――
4 コペルニクスの生涯と著作
5 コペルニクスの天文学
――地球中心説から太陽中心説へ――
6 コペルニクス説の受容と変容の過程
文献
人名・書名索引
事項索引