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「死の定義」の核心、Integrity〈有機的統合性〉とは何か。脳死を肯定する論理の核心となる概念の出自と歴史的変遷を追う。
脳死を人の死とすることをはじめて科学的に“論理化”した米国大統領委員会報告「死の定義」で論理の主軸をなす〈有機的統合性〉。この概念を13世紀のトマス・アクィナスから説き起こし、神学から数学、心理学、生理学、精神医学等でさまざまな意味を担い、最終的に脳死を肯定する言葉としてどう機能するに至ったかを追った労作。
【目次】
序論 本書は何を問うのか
第1節 「脳死」の論理とその起源
第2節 本書の構成
第1章 科学史と生命倫理学の交差
第1節 歴史研究としての姿勢──本研究における歴史とは何か
第2節 科学史と概念史
第3節 生命倫理学の歴史
第4節 Integrity、Integration、有機的統合性
第2章 IntegrityとIntegrationの原義と変容──13世紀キリスト教神学から17世紀微積分学まで
第1節 人間が追い求める身体のIntegritas
第2節 IntegrityとIntegrationの登場
第3章 心・身体・脳をめぐるIntegration──19世紀心理学から20世紀神経生理学まで
第1節 心理学的概念としてのIntegration
第2節 精神医学的・神経生理学的概念としてのIntegration
第4章 生命現象をめぐるIntegrityとIntegration──19世紀生理学から20世紀生理学まで
第1節 生理学的概念としてのIntégritéとIntegrity
第2節 有機体の恒常性を維持するIntegration
第5章 生と死をめぐるIntegrityとIntegration──20世紀初頭の神学から20世紀後半の生命倫理学まで
第1節 神から託された身体のIntegrity
第2節 交差するIntegrityとIntegration
第3節 生と死を弁別するIntegrityとIntegration
終論 死の定義と〈有機的統合性〉
あとがき
引用・参考文献
事項索引
人名索引