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いま日本は、老いを拒否する「モラトリアム中年」、死を考えたくない「モラトリアム老年」が増えていないか・・・。
元厚生省老人福祉専門官である著者は、行政と教育で老人福祉に長年携わり、現在は老人ホームの一室で自らと周囲の老いに直面。若い時から自らの老人観の変化をも交えながら、個人・社会・行政の現状に問いを投げかけ、迫り来る高齢化社会に向けて提言する。
「若さ」「健康」「強さ」のみが価値ありとされる風潮の中で、実は、常に病や死にさらされているすべての人間存在についても考えさせられる書。
[目次]
序文
第一章 老人ホームの生活(老人ホームに入る/老人ホームの質的転換)
第二章 老いと闘い(社会の老い観/私の老い観/喪失の過程/凋落の季節)
第三章 死と葬(終焉の姿/死に向かう姿勢/葬と墓/古語に学ぶ)
付録 ボーヴォワール『老い』/有吉佐和子『恍惚の人』